私事で恐縮ですが、自分の子供時代を振り返ると、母はいつもイライラしていました。小学生から中学生にかけてが親との距離の取り方に悩んだ時期でした。社会人になって独立して親元から離れて、ようやく親と距離を取って接することができるようになり、私自身も客観的な目で見ることができるようになりました。
今振り返ると母にもいろいろ事情があって、イライラしていたのかなと思います。しかし、子どものときはそんな親の事情慮る余裕もありませんでした。ただただ、母親が怖かったです。あんな風に子育てしたくない、自分の子育ての時は絶対にあんな風に叱るまいと考えていました。
しかし、いざ子育てに向かい合ってみると、思い通りにならないことが多くて、イライラしてしまうことがあります。だから、アンガーマネジメントを勉強したり、アドラー心理学を学んだりしています。
イライラしたり、怒るといった感情は自然なことです。怒りの感情は、人間が生きていく上で大切なものです。アンガーマネジメントは、「怒りの感情とうまく付き合うこと」が目的です。「怒ってはいけない」ということではありません。重要なのは、「怒り」や「イライラ」をコントロールしたり、上手に表現することです。
幼少期に怒られてばかりいた子どもは、親の顔色ばかりを伺い、萎縮して自分をうまく表現できない傾向があります。一方で、自分の感情をコントロールする能力に長けた親に育てられた子どもは、素直に自分を表現することができ、何事にも積極的に取り組みます。
人は誰でも心の中に自分の価値観を持っています。毎日の生活の中で、他人の言葉や態度があなたの心に飛び込んできます。言葉や態度が自分の価値観の外にある時は、イライラや怒りにつながります。
自分の価値観はその時の状況などに応じて変わります。遭遇している出来事は同じでも、その時の気分によって受け取り方は変わります。さらりと受け流せる時もあれば、イライラしたり、切れてしまうこともあります。
人は、自分自身で目の前に起きた出来事の意味づけを変えることができます。ものごとに対する意味づけを変えるのは、自分自身の受け取り方次第です。どんな出来事も言葉も、あなたを怒らせることはできません。「目の前の出来事をどう受け止めるか」なのです。あなた自身が怒るか怒らないかを決めているのです。
怒るか怒らないかを決めるのは、あなた自身です。全ての場面で、「怒る」という選択肢と「怒らない」という選択肢があります。そして、自分で怒ると選んだために怒ったのです。
イライラや怒りは、他人が自分に与えているものと思いがちですが、原因は自分の中にあります。目の前に起きた出来事には何の意味もないのです。子どもに対してイライラしたとしましょう。子どもの言葉や行動に反応してあなたがイライラしたり怒っているのです。出来事に意味づけをしているのは「あなた」なのです。
怒りをうまく表現する
人間ですから、怒りを感じないということはありません。怒りを感じた時に、その感情に蓋をする必要もありません。怒らないからストレスがたまるのではなく、伝えるべきことを伝えずに、いつまでも目の前の状況が変わらないからストレスがたまるのです。怒りをうまく表現することができるとすっきりします。
怒りの感情を上手に伝えるには押さえておくべきポイントがあります。相手の行動に問題があったのか具体的な事実を伝えます。その行動がどんな影響を持つのかを具体的に伝えます。どんな感情が芽生えたのかを率直に伝えます。そして相手に尊重示します。目的は伝えることではなく伝えて相手の行動を変化させることです。
親だから怒ってはいけないということはありません。まずは、相手が喜ぶことや相手の素晴らしいことなどポジティブなことから言葉にして伝える習慣をつけましょう。 そうすると、不思議なことに、言いにくいことでも上手に伝えられるようになります。胸の中で止めていたら誰にも伝えることができず、解決することもできません。キチンと相手に伝えることで相手が行動をかえてくれればストレスがたまりません。
あなたは、いつもイライラして怒ってばかりいる人とは友達になりたいと思わないですよね。すぐに怒る人には早死にが多いとも言われていますよ。怒りをコントロールするだけで人生は劇的に変わります。今まで失っていた人間関係、時間、お金が戻ってきます。
イライラした時の対策
イライラした時の対策としては、「対処療法」と、「体質改善」があります。対処療法とは、怒りの感情が生まれたときにどのように対処するかです。イライラや怒りについても、その兆候が見えた時点で対処することにより、うまくコントロールすることができます。 体質改善については追って取り上げたいと思います。
まず、「対処療法」について考えます。怒らない技術でとても大切なのは即座に反射しないということです。そこで色々な方法を使って思考を停止させましょう。イライラ、怒りは、脳の感情系が優位になっている時に生まれやすいです。そこで思考停止して、思考系が働くチャンスを与えましょう。
ストップスィンキング Stop Thinking
イライラするような出来事が起きた瞬間に、「1,2,3」とみっつ数えます。
クロスポジション Cross Position
自分と子どもの立場を入れ替えて考えてみます。
相手の立場になって考えると子どもに伝わり方を考え直したり様々なことに気づくことができます。
キープメンター Keep Mentor
何でも話せる相談相手を持ちましょう。人は怒りを吐き出すだけで楽になる傾向があります。メンターを持つと子育て中で不安定になりがちな気持ちを落ち着かせることができます。 リアルでもネットでもアウトプットできる場所や人がいるとそれだけで気持ちがずっと楽になるでしょう。もしそういった相手がいなければ自分自身でブログを立ち上げても良いでしょう。 怒りの感情は溜めないで吐き出すことが大切です。
コーピングマントラ Coping Mantra
イライラしたり怒ってしまったときや落ち込んでしまった時のために、予め、自分自身の呪文を持ちましょう。魔法の呪文を唱えることで自分を勇気づけたり納得させたりすることができます。
タイムアウト Time Out
イライラや怒りが沸騰しそうになったら、その場から一旦離れて距離を置いてみましょう。身体と感情はひとつのセットになっています。体を動かすことで感情を変えることができます。怒りを感じた場所から別の場所に移動することで、落ち着きを取り戻すことができます。
リロケーションアイ Relocation Eye
目の前の風景を変えることによって、イライラとの間をとりましょう。効果的に目の前の景色を変えるには日常体験していることではなく、行ったことがない、チャレンジしたことがない、ちょっとストレスがかかることをやるのがポイントです。
ポジティブフォーカス Positive Focus
目の前に現れたイライラの原因に焦点を当てるとイライラはどんどん大きくなります。少し距離をとって相手の良い部分に目を向けましょう。過去にしてもらって嬉しかったことをひとつ思い出してみます。イライラの原因から一旦離れることができます。子どもに対してイライラした時に、小さい頃のこと、良かったこと、これまで子どもからもらったたくさんのプレゼントを思い出して怒りをおさめましょう。
できなかったことは失敗したことに注目して怒ったり、イライラするのではなく、できたことややろうとした気持ち、好奇心を持ったことなどポジティブな面に気づいて褒めましょう。同じ状況でも言い方ひとつで大きく変わるのです。
親は子どもに対して様々な期待や願いを抱いてつい怒ったり失望します。でも子どもには良いところがたくさんあります。親がそのことを忘れているだけなのです。
アクトカーム Act calm
「とにかく怒らない」と自分の中で決めてそれだけは絶対に守ります。
特定の言動をしないと決めます。
私はアクトカームとして、以下のことをやらないと決めています。
1) 叩かない、体罰は絶対にしない。
暴力は強い立場の人から弱い立場の人に行う自分に甘い人、弱い人がする行為です。自分の過去を振り返ると、子どもの時に母親が怒りに任せて叩いたり蹴ったりすることがありました。思い出すと今でも辛い記憶です。それもあって母親と素直に接することが出来ない時もありました。子どもの心に傷を残すので、体罰は絶対にやめましょう。
2) 「早くしなさい」と言わない。
「早くしなさい」という言葉はイライラや怒りにつながりやすい言葉です。大人は何でも手際よくできますから子どもに対して「早くしなさい」と言ってしまいます。でも子どもにとっては、日常の動作すら大変な作業なのです。子どもには子どものペースがあります。急かしたところですぐにできるわけでもありません。早くと言わないで済むような工夫をしたり、「子どもは何をするにも時間がかかる」という前提で、何事も余裕をもって行うべきでしょう。親が時間の使い方を考え直しましょう。早くしなさいと急かすのは、親の都合で言ってることはかなりあるのではないでしょうか。
リフレーム Reframe
イライラの原因はあなたの心の持ちよう、期待、価値観、思い込みにあります。だからあなたの心の持ちを変えれば、それまで怒りの対象だった出来事さえ怒りの対象から外れてしまうのです。
ファーストファクター First Factor
感情には二種類があります。不安、悲しみ、心配、絶望などは第一次感情です。この第一次感情を元にして感じるのが怒りです。怒りは第二次感情と言われています。第一次感情に気づくことによってイライラや怒りの原因がわかります。そうしたら怒りの感情として表に出すのではなく自分の気持ちがきちんと伝わるにはどうしたらいいかと考えることができます。
怒らない技術の本質は解決方法に焦点を当てることです。コントロールできないことに集中しても仕方ありません。自分でコントロールできることとできないことを区別しましょう。そして自分でコントロールできることに目を向け。解決方法を考えましょう。他人と過去はコントロールすることができません。でも自分はちょっとしたことで変えることができます。子どもにイライラする前にどうしたら怒らないで済むのか対処方法を考えてみましょう。
アンガーログをつけましょう
怒らない技術には対処療法と体質改善の二つがあります。体質改善に効果的なのがアンガーログです。 いつどこでどんな時にどのくらい怒ったかを記録していくと自分の怒りの傾向が分かりイライラを少なくすることができます。自分はこういう場面でおこりやすいというパターンが分かればそれを回避することも可能になります。
- 怒ってしまった出来事
- その時どう感じたか
- 実際はどうしてほしかったのか
- どうして欲しかったかを実現するために何をしたらいいか
子育て中のヒント
日々の子育てに追われていると、つい親がイライラを子どもにぶつけてしまうこともあるでしょう。親が子どもを傷つけるような対応を繰り返せば、子どもが不安定になります。そうならないためにも、親は上手にストレスを解消したり、だれかに相談することが大切なのです。
現状と理想のギャップを埋めるためにどうしたらよいか考え、解決しましょう。
子どもに対して指示をする時は、抽象的に話すのではなく、具体的に話しましょう。
片付けをする時は「片付けてね」と言っても子どもはわかりません。「ここに戻してね」という風に具体的に話しましょう。
子どもに良い習慣を身につけさせるには、スイッチを入れることです。スイッチを入れるには、必ず同じタイミングで宿題をさせることです。例えば、「学校から帰ってきたらすぐに宿題をする」と決め、同じタイミングでやるようパターン化するのです。
子どもが楽しいことをしているときに何かをさせなければいけない時には、気持ち良く切り上げられるように工夫しましょう。子どもは目の前のことに夢中になります。子どもには時間の感覚がありません。
子育てをしていると誰かと比べて不安になりそれがイライラの原因になることもあります。子どもの成長には個人差があるので他人の子と比べて比較しても意味がありません。それよりも自分の子どもの長所に注目してそれを伸ばすようにしましょう。
人間は多面的な存在であり性格として表面に現れているのはその子の一部であって全てではありません。子どもは成長過程においていろんな出会いがあり学んでいきます。周りと比較して子どもに怒ったりすることは、子どもを傷つけるだけで何も良いことはありません。子どもがあなたを他の家と比較していたらいい気持ちにはならないですよね。ポジティブフォーカスをして我が子にとって一番良いところを探し伸ばしてあげましょう。
子どもが甘えてくるのは愛情がほしいと感じているということです。小学生になってもなんとなくそばにいて欲しい抱きしめて欲しいと思う時があるようです。子どもが甘えてきた時に甘えさせてあげることが大切です。ぎゅーっと抱きしめてあげましょう。
親の思うようにならないとか、イライラするなどで親が感情的になって怒るのではなく、子どもの教育のために叱るのだということを意識しましょう。親はあくまで子どもの自立を促すサポート役です。
そもそも、「子どもは親の言うことは聞かない」というくらいに考えておいた方がよいのです。親の言うことはなかなか伝わらないものなのです。そういった前提だと子どもが言うことを聞かなくてもイライラしないでしょう。子どもに伝わるように言葉を尽くしましょう。親が伝えられたと思っていても実は子どもには伝わっていないということはよくあります。どうしたらきちんと伝わるのか常に意識しましょう。何がわかったのか、なぜ叱ったのかということを子どもに考えさせるやり取りがあると良いでしょう。
大人だからといって子どもに言うことを聞かせるという前提ではいけません。理由と一緒に丁寧にお願いしましょう。
間違った褒め方や過剰な期待が子どもを追い詰めることもあります。親の感情を満足させるために褒めないようにしましょう。
子どもの気持ちに寄り添って時には譲ることも大切です。
長い目で見た時に一時的な出来事や子どもの成長と共に消えていくようなものことについては、まあいいかと思い流すことも大切です。子育てに大変な時期はこの状態がいつまでも続くのではないかと思いがちです。しかし子ども日々成長しています。そして子どもは大きくなるにつれ言われたことを理解するようになります。
「待つ」「見守る」ことも大切です。時には見守るだけにして待ってみましょう。子どものやりたい気持ちを尊重してあげることが大事なのです。話すたびに遮られたり、先回りして話されたり、聞いてもらえなかったりしたら、その子は話したり伝えることの喜びを感じることができず、次第に話さなくなってしまうでしょう。
子どもにはポジティブな言葉をかけるようにしましょう。
「愛している」、「好きだ」、「宝物だよ」
そうすると子どももポジティブな言葉を使うようになります。
私は子どもに対してほぼ毎日、「○○ちゃんは、ママの宝物だよ」「大好きだよ」「○○ちゃんが生まれてきてくれて嬉しいよ」と言っています。
普段からポジティブな言葉がけをすることは大切です。子どもはそれを受け取り自信を育んでいきます。何かあった時に自分は頑張ればできるんだと思える子どもになるか、どうせ自分はやってもダメなんだと思う子どもになるか、親の接し方や言葉かけによって子どものセルフイメージは大きく変わります。
約束は自分でコントロールできるものでなければなりません。コントロールできない「結果」についての約束ではなく、コントロールできる結果までの「プロセス」を約束するようにします。
子どもに何かを教える時は、やることを細かく区切って具体的に教えると良いでしょう。そしてそのことを覚えるまで繰り返し覚えたら次の区切りといったように、段階を踏んで進めます。
子どもに約束を大切さを伝えるためには、親も約束を守らなければなりません。そして親は子どもと守れる約束をしなければいけません。できない約束を繰り返していると子どもは約束は守らなくてもいいんだという風に判断してしまいます。
子育ての目標は、「子どもが自信を持って生きていくことができるようサポートすること」です。